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PROJECT02
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High Power Deep-UV LED
波長265nmで世界最高レベル50mW
除菌効果(※)の高い光によって、
安全・安心な暮らしを支える
※正確には「不活化」
薬品不使用で環境への負荷も少なく
除菌ができる深紫外LEDデバイス

地球環境の変化による市場での需要の高まりを予測して量産に至った高出力265nm深紫外LEDデバイス。安全・安心な暮らしを支える製品の実現に関わった設計者3人にインタビューし、開発現場の最前線に迫る。

パッケージ設計担当(入社 25年目)

素子開発担当(入社 16年目)

パッケージ設計担当(入社 3年目)

※ 担当・年次はいずれも取材当時のもの

背景

人々の安全・安心な暮らしを支える新たな製品を目指して

スタンレー電気では、創業以来続く自動車用ランプ事業のノウハウを基に、高い光学技術や安全性・信頼性のある電子事業の製品群を生み出してきた。人々の暮らしの根幹を光で支えるという視点で次なる事業戦略を構想する中、当社は地球環境の変化、特に水資源の重要性へ着目した。水資源が豊富というイメージのある地球だが、陸上生物が利用できる水は全体の0.01%にも満たない。さらに、気候変動や生活様式の変化の影響で水資源は枯渇することが予測され、これから人々が暮らしていくうえで、安全な水資源の確保は大きな社会課題となりうる。
“光の技術を用いて、この社会課題を解決することはできないか”と検討を進めるなかで、深紫外光を発するLEDデバイスの実現が必要であると考えた。深紫外LEDデバイスは水銀を使っていないため、既存のUVランプよりも環境負荷が少ない、かつ小型であることから多様な場面への活用も期待できる。
そして深紫外製品事業の一環として深紫外LEDデバイスの研究を開始することとなった。

課題

設計の初期からトライ&エラーの連続

技術研究所での研究を経て、本プロジェクトの管轄先は光半導体事業部へと移った。LEDデバイスの開発・設計・販売を行う光半導体事業部で、製品化を進めるためである。深紫外LEDデバイスの量産に向けてはLED素子を開発する必要があった。
「素子は光る部分にあたります。今回の素子開発は新しい技術を取り入れたもので、難易度が高く、開発当初はばらつきが出てしまって安定した生産ができる状態にはほど遠かったんです。LEDデバイスを光らせるにあたっては電流を流す必要がありますが、その時にかかる電圧が上がると発熱が大きくなり、製品の寿命に影響しかねません。どうすれば電圧をできるだけ下げられるか、素子に電極をつける条件や方法、材料などを変えながら何度も検討を重ね、少しずつ改善していきました」。

素子の開発と並行して、パッケージの設計も行っていた。パッケージとは、素子を保護するためのセラミックや電気を流すための電極など、素子をLEDデバイスとして光らせるための部材の総称である。研究所で考案された材料構成や形などを基に、製品として量産できるように仕様の調整・改良を行っていった。
「LEDデバイスは小型なため様々な環境で使用されます。反対にいえば、どんな厳しい環境下でも寿命や性能を落とさずに使用できる製品にする必要があります。そのためには設計段階での十分な検討が重要です」。
「設計を開始した当初、量産のための図面を発行するにあたり、本当に実現できるのかと途方に暮れたこともありました。しかし、企画部や営業部、製造部など他部署との連携を取っていくうちに、プロジェクトが大きく前進していき、士気もどんどん上がりました」。

印象的なエピソード

様々な課題を解決し量産への動きを加速させていく

プロジェクトが前進し続けるなか、モノづくりの現場である工場の力がさらに不可欠になってきた。
「量産に向けた動きは次の段階である生産を見据えたものになり、生産拠点との連携強化の重要性が高まってきました。そこで設計チーム数名で山形にある当社の生産拠点へ出張し、生産部門とひざを突き合わせながら、1つ1つ課題を乗り越えました。生産部門の協力を仰ぐことができたこともあって、振り返ってみると量産への大きな一歩を踏み出すことになったものだったと思います」。
出張を終えた後も、毎日朝と夕方の2回、メンバー全員で業務進捗の報告や予定の確認を行い、次に進むための課題を解決していった。
時を同じくして、経営層へ報告するためのデータ資料を上司から求められることが多くなってきた。本プロジェクトへの関心の高まりが改めて感じられる場面だった。
「当社の未来へつながる大きなプロジェクトを任されているという実感が湧き、モチベーションへと変わっていきました」。

使命感と今後の展望

顧客ニーズの実感と社会からの高い注目度

数々の課題を解決し量産段階に移行、無事、量産にこぎつけることができた。量産移行後も工場と連携して、個々の顧客からのニーズに対応していった。
「用途が異なると仕様も変わるため、それら一つひとつの要望に応える必要があります。量産に入った段階で全てやり切ったわけではなく、要望に全て応えられるようになって初めて製品が完成したことになるんだと思います」。当初、困難を極めたプロジェクト運営だったが、営業部門や生産部門など様々な部署の協力があり、無事に量産を開始することができた。
これまでもスタンレー電気ではLEDデバイスを用いた自動車用ランプなど、社会に貢献できる製品の開発を続けてきた。今回、波長265nmで世界最高レベル50mWという業界でも最先端技術を実現したことで国内外からの注目が高まっている。
「当初想定されていた水殺菌業界以外の顧客からも多くの問い合わせを頂いたため、質問や相談の対応で毎日があっという間に過ぎていきました。まだ配属して間もないタイミングで初めて製品化に携われたというのもあり、需要の高まりと同時に自分のモチベーションも上がりました。大変なこともありましたが、やりがいも大きかったです」。
「どの製品についても社会に貢献できるものだと思っていますが、感染症拡大防止という新たな価値を提供できるデバイスを作っていることには誇りを持っています」。

さらなる技術改良に向けて終わりなく走り続けていく

「今後もより効率の良い製品を目指し続けるという使命は変わりません」。
LEDデバイスでは、光る部分である素子の性能を上げること、そしてその光をパッケージがより多く透過させることが重要である。この2つの品質を上げることで他では類を見ないものにできる、との想いを胸に、少しでも優れた製品を目指して改善を続けている。
「技術は日々、どんどん進化しています。今の段階で置いているゴールを達成したとしても、また1年後には新しいゴールが求められていて、いつまでもゴールを追い続ける挑戦者でなければならない。このプロジェクトに終わりはないと考えています」。
高効率・高出力・長寿命なLEDデバイスの開発を追及する、技術者たちの挑戦に終わりはない。

学生へのメッセージ:当社の魅力とは?

20年以上この会社で働いていますが、働きやすいアットホームな雰囲気です。働く人たちの雰囲気が柔らかいので、自分には合っていました。そのおかげで長く働き続けられているんだと思います。

個人差はあるんでしょうが、上から下までフランクに話ができるところは魅力です。それから経験が浅くても、最先端技術にチャレンジできます。実際、私も深紫外LEDの素子設計に携わるのは初めてでしたが、周囲のサポートもあり、量産につなげることができました。

若いうちからチャレンジできる環境があるところはいいと思います。今回、社会的にも意義のあるプロジェクトでサンプルづくりに携わらせてもらった経験は今後の設計者としての人生でも大いに役立つと思います。