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NEW BUSINESS CREATION PROJECT
新技術への挑戦

世の中にない新技術で
世の中にないモノを創る新事業を創出せよ

発足――新規プロジェクトのために集められた7人

事の起こりは2014年1月。「世の中にない新技術で世の中にないモノを生みだす新事業を創出せよ」――。経営層の特命を受けてスタンレーの各拠点から7人の人材が集められ、従来の研究開発部門とは異なるコンセプトの経営直轄組織として編成された新規プロジェクトが始動した。メンバーは研究職から事業部、開発出身者まで出自はさまざまだが、全員が〝半導体バカ〟といわれるほど半導体に精通した中堅社員たち。その人選を行った彼らの上長によれば「技術の追究については実直だがアマノジャクなところのある研究職、ときに扱いにくいと思われることもあるが〝鉄の心臓〟で困難を飄々と乗り切る事業部出身者など、いずれもひとクセもふたクセもある個性的なメンバーばかり。確かな知識と行動力を有し、他人の言葉を鵜呑みにしたり流されたりせずに信じる道を貫ける人材を集めた」そうだ。

プロジェクトは「これまでにない発想で、次世代のスタンレーの主力事業を生み出す」ということ以外、まったくの白紙。個性的なメンバーらがさまざまな視点で100以上ものアイデアを提案し合い、意見を闘わせ、リサーチとフィジビリティースタディーが重ねられたが、なかなか研究テーマが定まらなかった。「これまでにない発想」とひと言でいうのは簡単だが、要は「既存技術では実現できないとされていることを、新しいアイデアで可能にしなければならない」からだ。そのためにはいかに先進的なテーマであっても、大学や他の研究機関によって理論的に証明されているテーマに着手するわけにはいかず、必然的にアプリケーション→デバイス→材料という流れで研究の上流(基礎研究)に焦点を絞っていくしかなかったのだ。

そうやってプロジェクトメンバーらが行き着いたテーマは「機能性高分子材料の材料開発」だった。デバイス屋であるスタンレーが、将来を見据えて「材料」という分野へと大きな一歩を踏み出したのだ。

できないことに挑戦するから価値がある

人類史において、その生活の利便性を大きく向上させた機能性高分子は数多く、無機や金属との複合材料、印刷用感光性料、人工心臓、血管などの生体適合材料、水素自動車に代表される燃料電池の高吸水性ポリマー、コンタクトレンズなどの酸素富化膜などがあげられる。こうした高分子材料の加工技術は年々進歩しており、極々細繊維、多孔膜、超薄膜、ナノ粒子のように、分子レベルの加工が可能となってきたほか、合成により製造した高分子を加工し、機能を付加することで新たな価値を生み出すこともできる。これまでに機能性高分子の研究開発がもたらした産物の社会的貢献度は非常に高い。まさに次世代の主力事業となり得る可能性を大いに秘めているといえる。

ただ、異分野への挑戦には当然のことながら困難がつきまとう。まず何より、機能性高分子材料の材料開発を行うには、これまでスタンレーが取り扱ったことのない有機化学合成などの化学系技術が必要だった。この新技術を我が物とした上で、スタンレーが保有する既存技術である微細加工技術と融合させ、未来を勝ち残る「強い技術」に進化させねばならなかったのだ。 先述したとおり、発足当初のメンバー7人は〝半導体バカ〟の物理系技術者であり、化学系技術は畑違い。スタンレーは、半導体デバイスや新規光源などの研究開発分野に注力してきた歴史があり、半導体技術や光学設計技術といった物理系技術者を中心に育ててきたため、化学系技術者を多くは有していなかったのである。このため、初期メンバーらは大学との共同研究を通して新たな技術分野の知識を吸収しながら原理検証を繰り返し、プロジェクトを推進していった。「メンバーで集まってテーマや方向性について話し合った後は、みな各地に散ってそれぞれの担当分野のリサーチや大学との共同研究に奔走、数カ月ぶりに集まって進捗を報告し合ってまた解散。その繰り返しだった」とメンバーの一人は当時を振り返る。

こうした努力のかいあって研究開発は着々と進展し、現在では若手の化学系技術者も加わってメンバーは15名に。研究がさらに加速し始めているなか、「今後も強い意志と確かな専門知識を持つ若手を集めながら、さらに大きなプロジェクトとしていきたい」とメンバーらは意気込んでいる。

今後の展望――社会にまったく新しい価値を提供することを目指して

この新規プロジェクトはこれまでに誰も挑戦したことのないテーマであり、ハードルは非常に高い。新たな技術である化学合成技術の原理検証を繰り返した末、自社に新設備を導入し開発基盤が整った現在も、課題は多い。

プロジェクトリーダーは「世の中にないものを新たに創出するには、根気と強い想いが必要。これからも常にプロジェクト始動時の『必ず結果を出す』という気概を忘れることなく、今後新たに加わる若手とも思いを共有しながら開発に取り組みたい」と話す。半導体の酸いも甘いも知り尽くした彼らなら、異分野である化学系のテーマに対しても画期的なアプローチで今後も課題解決を行っていけるはずだ。

彼らの取り組みが実を結べば、「ゼロからの挑戦が新しい未来をつくった」先例としてスタンレーにとってかけがえのない財産となり、これから入社してくる若手たちの目標にもなるだろう。そして何より、このプロジェクトの成果はいつの日か、社会にまったく新しい価値を提供することになるに違いない。

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