高校時代、美術系の大学を目指していた桜井は当初グラフィックデザインに興味を持っていた。しかし彼女のデッサンを見たアトリエの先生から「プロダクトデザインに向いているのではないか」というアドバイスを受けたことがきっかけで製品のデザインに興味を持つようになったのだと話す。念願かなって美術系の大学へ進学し学びを深めていくなかで、その難しさと楽しさに目覚めた。「ある日、女性向けの電動ドリルをデザインするという課題が出たことがありました」。そこで彼女はパステルカラーで丸いフォルムの女性が好みそうな可愛いデザインに仕上げた。しかしその提案は却下。「教授からは『女性は男性と比べて力が弱いから安定性や重さについても配慮する必要がある。表面的なデザインだけではダメだ』と言われました」。機能を兼ね備えたデザインを必要とするプロダクトデザインの面白さに触れた桜井は、就職活動において車の印象を決めるヘッドランプに興味を持ち、当社への入社を決めた。
新入社員研修を経て、配属されたのは、自動車ランプやルームランプなどのデザインを手がける部署。最初は比較的小さなランプのデザインから取り組み、自動車ランプをはじめとした様々な案件を任されるようになった。「例えば自動車のヘッドランプにおいては、ドライバーが安全に運転できる環境を作ることが最も重要な役割です。そのうえで各完成車メーカー独自のコンセプトやデザインなどを具現化していくのが私たちの使命です」と話す桜井。そんな彼女にどのような発想からデザインが生まれるのか尋ねてみた。「ある時、『表情が変わる』ランプのデザイン提案してほしいとの依頼を顧客から受けたことがありました」。そこで桜井は様々な雑誌や展示会を巡りデザインのヒントを模索し続けた。「そのうちふと最近あった自然現象をデザインコンセプトに取り入れよう思ったんです」。「結果的にコンペで私の提案したものが顧客から高い評価をいただきました。当社には若手のうちから様々な案件に挑戦出来る環境があるので、努力すればするほど成長につながっていくチャンスがあると感じています」。
自動車ランプはLEDの普及により著しい進化を遂げてきた。LEDの普及に伴いデザインの自由度は格段に高くなったと桜井はうれしそうに話す。「これまでのハロゲン電球では表現できないデザインも、LEDの普及により実現可能になりました。デザインの仕事がますます面白くなっていると感じています」。デザインを行う上では、もちろん技術面で分からないことが生じる時もある。「そのような時は設計者や研究所に不明点を質問し、解決してからデザインを練り上げていきます」。常に新しいアイデアを提案する仕事であることから美術館に行ったり、イベントに参加したりと感性を磨く努力は欠かせない。「今年はパリで開催された最新の自動車を紹介する展示会へ向かい、トレンドの調査を行いました。新しい技術やデザインに触れる機会を若手にも積極的に与えてくれるので、どんどん前に進むことができます」。「今後も当社ならではの技術を組み込んだデザインを提案していきたい」そう話す桜井が今後どんな製品を生み出すのか楽しみだ。
入社の動機
見た目だけでなく機能性を重視したプロダクトデザインに携われる会社で勤めたいと思い当社への入社を決めました。
今後の目標
当社の独自技術を取り入れた次世代のデザインを提案していきたいと考えています。
長期休暇になると海外に出かけることが多いです。スペイン、オーストラリア、香港など、いろんな国を訪ねましたが、スペインのバルセロナは街そのものが芸術的で街中を歩いているだけで楽しむことが出来ました。ガウディが手掛けた建造物があちらこちらにあり、偉大な芸術家の作品を肌で感じた良い機会でした。